令和元年度 新城南支部環境管理強化月間講習会
新城南支部は10月18日(金) 午後6時から大森東急REIホテルにて
山田浩司新城南支部環境委員司会のもと、坂手保弘新城南支部支部長の開会の辞を
もって定刻どおり開催した。
坂手支部長は「日頃より組合の活動にご協力いただきありがとうございます。
本日は下水道局の方、区の環境担当の方、川上本部長にお越しいただいております。
皆様にとって有意義な会になると思います。さて、昨今『 環境 』という言葉の意味が
変わってきたように感じます。環境保全=公害防止という風にとらえていたものが、
最近では地球環境という意味で使われているようです。先だっての台風も各地に大きな
被害をもたらしましたが、これからの環境の講習会もBCP対策のような観点で行わなけ
ればならないのかもしれません。まずは足元の環境保全という意味合いで講習会を始めたいと思います」と挨拶した。
東京都下水道局南部下水道事務所 水質規制担当課長代理 池田広数様よりめっき業における排水管理の具体的状況及び排水処理施設の維持管理について講演が行われた。
はじめに先日の台風被害の対応のため、本日欠席となった土井浩お客様サービス課長の話をされた。「メッキ業は長きにわたり基盤産業として支えていただいていると認識しております。多くの有害物質を取り扱っているので、下水道局としてはそれらの流出の影響が懸念されるところです。下水の排出基準が設けられているなかで、それらを守って排出する様努めていただいていて感謝します。処理施設の運転管理については日常の維持が重要だと思います。万が一流出等の事故が起きた場合は、速やかに関係各所に連絡を取って頂きたい。
今後とも下水道関連への理解をよろしくお願いいたします。」
続いて池田様が、「先日の台風で皆様の事業所はどうだったでしょうか。今のところ事故の報告はありません。何かあった際には報告のほどよろしくお願いします。」
- 立ち入り検査の状況
採水時の基準超過率が23区では5年間で15%前後と横ばいを推移しているなか、南部管内は昨年度17.4%とやや高い。作業管理不良からくる高濃度廃液や処理阻害物質の混入が主な原因と考えられる。
- 下水排除基準の超過事例
ろ過機の故障でめっき液が原水槽上流のピットへ流入。気温の上昇で溶剤洗浄槽の冷却水温度が上昇し、蒸気が流出。事故時の連絡体制、情報伝達など再発防止、未然防止に努めていただきたい。
- 排水管理の課題
亜鉛・ほう素・ふっ素などについて、暫定基準の期限を見据えて維持管理の徹底、原水濃度の管理、処理薬剤の変更・適正化、処理困難物質の対策、処理施設の増改築など、本則基準の適用に向け対応よろしくお願いします。特定施設を変更する場合は法令に基づく適正な届け出をお願いします。強い地震が発生した場合、シアン系メッキ槽がある事業所には状況を尋ねることがある。ご協力よろしくお願いします。
- 排水処理施設の維持管理
下水道の処理は生物処理である。基準超過は、水再生センターの微生物、管内作業する人に影響を与える可能性がある。配管からの漏えい等により土壌汚染など環境汚染にもなりえる。超過に対する未然防止対策について、発生する前にその兆候をつかみ対策をとる。処理施設の維持管理を徹底する。日頃から施設の状況、水質を把握し記録する。ポイントとしては、電極の洗浄、処理薬品の残量、定期的な専門業者による点検、水質の簡易分析での確認、組合で実施している排水分析、マニフェスト伝票での仕事量と発生量の増減の整合性などである。点検記録を毎日行う。超過を起こさないための注意点としては、濃厚廃液は廃液回収が望ましい。社内処理の場合は、処理手順をマニュアル化し、廃液の種類、発生量、処理量などを記載した一覧表を作成する。排水処理の担当は複数で行い、担当者不在にならないようにする。事故時の緊急連絡体制を作成し、見える場所に提示する。日常点検を毎日行い、水質異常の早期発見と速やかな対応を図る。万が一事故が起こってしまった場合、事故の概要等を連絡する。
大田区環境清掃部 環境対策課 環境調査指導課長 菅野俊明様より屋外の喫煙マナーについて講演いただいた。「日頃から大田区の環境行政にご協力いただきありがとうございます。緑化推進、街の美化、外来生物、地球温暖化対策などをやっております」
- 屋外の喫煙マナーについて
現在喫煙率は男性29.4%、女性7.2%。その中で国・都が進める健康増進法、東京都受動喫煙防止条例が来年4月1日には完全施行される。東京都は子供の受動喫煙防止にも努めている。施設の中、敷地に限定しており、屋外の規定は特にありません。大田区では歩きたばこの制限、ポイ捨ての禁止をしている。さらに喫煙マナー条例として(大田区内)、
- 公共の場所で、他の区民等にたばこの煙を吸わせないように努める
- 公共の場所で、歩きたばこ、自転車等を運転しながらの喫煙禁止と吸い殻ポイ捨て禁止
- 公園内での喫煙禁止
- 喫煙マナーの徹底を図る地区を喫煙禁止重点対策地区とし指導を行う
- 罰則として指導に従わない場合は過料
- 事業者の責務として従業員にルールを守るよう啓発に努める
今後、喫煙マナーの広報を行い、区民等に周知する。公衆喫煙所の設置の推進をする。
喫煙禁止重点対策地区を指定し、喫煙マナーの徹底を図る。事業者に向け、従業員への啓発を依頼する。
東京都鍍金工業組合 新城南支部環境対策本部 本部長の川上洋一様より排水処理の自主管理体制について講演いただいた。
自主管理体制の役割とは、諸々の情報を集めて困っている方に提供することにより、環境保全(排水処理)のために努力し貢献することである。
環境基準値とは環境保全の指針値である。環境を守るためにそれに見合った基準値を設ける。
排水処理については化学反応であり、条件に対して正確に反応する。違反が出るということは条件が整っていないという事。条件が整わないところを探し原因を究明する。そのための条件を整えて対策する。排水濃度はどの程度か、除外薬品濃度を常に一定に、pH設定はそれぞれ反応スピードが違うのでそれを知ることが大事である。さらに対策として、メンテナンスの専門業者、下水道局の指導員さん、支部組合員などに協力を仰ぐ。様々な情報を集めてまたそれを提供して、違反を減らしていくことが大事である。
事故発生時の対応対策について、事故発見者がまず拡散防止のため水道を止める。被害を最小限に抑えるよう努める。下水道局、組合、支部長、環境委員、公害防止協同組合に連絡する。シアン系が流出した場合は、二次被害があることも考えられるので気を付けなければならない。
今回オブザーバーとして、東京都鍍金工業組合 環境委員会委員長 岩井孝之様、品川区都市環境部 環境課指導調査係 小濱さやか様にもご参加いただいた。
内藤喜達新城南支部副支部長は「本日はご講演いただいた皆様ありがとうございました。
講習会に参加した組合員の皆様お疲れ様でした。一社でできることには限りがあります。
支部全体、組合全体で力になれればと思います。声をかけていただき活用していただきたいと思います」とし閉会の挨拶とした。
場を隣りの間に移し、福住高志新城南支部総代司会のもと懇親会を開催した。近年の環境を取り巻く様々な問題、先日の大きな被害となった台風、我々直近の排水処理、喫煙マナーなど、多く参加した組合員同士、食事やお酒を堪能しながら意見を交わせた。有意義な時間はあっという間に流れ、定刻中締めをもって閉会した。